国家資格「施工管理技士と技士補」試験の合格率と難易度|種類別に解説します

 

施工管理技士の資格は7種類あり、種類によって難易度が異なります。

 

また、取得する資格の種類や級によって担当できる業務内容や範囲が決まるため、基本的にはご自身のキャリアプランに照らし合わせて受験する資格を選ぶのがおすすめです。

 

そこでこちらの記事では、次の点を資格の種類ごとに解説しています。

  • 受検者数、合格者数、合格率
  • 難易度、出題傾向
  • 仕事内容

 

上記の内容をデータで正しく知ることで、「何のために、どの試験を受けるか?」「合格するために、どこを重点的にどのくらい勉強するか?」等、備えやすくなります。

 

さらには、受験するかどうか検討したり勉強をすすめたりするときに、次のような疑問が出てくることがあります。

  • 資格試験の合格率を知りたい
  • 希少価値の高い施工管理技士の資格ってどれだろう?
  • 試験に落ちてしまったため、再受験するか考えたい
  • 複数の施工管理技士の資格を取るためには、どの順で勉強を進めるのがよいの?

 

こちらの記事を読むことで、上記の疑問等を解消します。

ぜひご活用ください。

 

施工管理技士の試験の難易度と合格率

施工管理技士の資格試験の難易度を知る上で、まず7種の資格の共通点として次を押さえておきましょう。

 

  • 7つの施工管理技士の資格試験は、全体的に出題範囲が広い
    • 試験は第一次検定と第二次検定に分かれている
    • 第一次検定(筆記)に合格すると施工管理技士補になれる
    • 第二次検定(筆記と実地)にも合格すると施工管理技士になれる

     

    ここからは国土交通省より発表されている受検者数・合格者数をもとに、直近数年間の傾向について解説します。

     

    施工管理技士の種類別に難易度だけでなく仕事内容も解説していますので、必要なところをピックアップして読むのがおすすめです。

     

    建築施工管理技士

    受検者・合格者数と合格率

    建築施工管理技士の1級および2級の受験者数と合格者数は次の通りです。

     

    検定種目

    受検者数[名]

    合格者数[名]

    合格率[%]

    1級第一次検定

    24,078

    10,017

    41.6

    1級第二次検定

    14,391

    6,544

    45.5

    2級第一次検定

    40,763

    18,537

    45.5

    2級第二次検定

    21,859

    6,999

    32.0

     

    難易度と出題傾向

    建築施工管理技士の資格試験では、2級は1級よりも出題範囲が広く浅いのが特徴です。

     

    2級を受ける段階で幅広い領域の出題問題をいかにカバーできるかが勝負となります。

     

    特に実務経験が浅い状態で2級の第一次検定(筆記試験)に臨む場合は、不慣れな単語も出てくるため時間配分を意識してバランスよく勉強しましょう。

     

    仕事内容

    2級建築施工管理技士と1級建築施工管理技士の業務内容に大きな違いはありません。

     

    ですが、携わることができる工事現場の規模に違いがあり、2級を取得するだけでは制限がかかってきます。

     

    勤めている会社で取り扱っている建物や建築物の規模が大きい場合は、1級の取得も視野に入れて勉強を進めると良いでしょう。

     

    土木施工管理技士

    土木施工管理技士の1級および2級の受験者数と合格者数は次の通りです。

     

    検定種目

    受検者数[名]

    合格者数[名]

    合格率[%]

    1級第一次検定

    32,931

    16,311

    49.5

    1級第二次検定

    27,304

    9,060

    33.2

    2級第一次検定

    43,501

    21,339

    49.1

    2級第二次検定

    26,507

    16,583

    62.6

     

    難易度と出題傾向

    土木施工管理技士の資格試験では、1級は2級よりも出題範囲が広く、出題数も広くなっています。

     

    1級のほうが難しいため、2級取得後に1級の取得を目指すが一般的です。

     

    仕事内容

    土木工事には、河川/道路/海岸/トンネル/下水道/土地の区画整理工事/災害時の復旧工事などが含まれます。

     

    施工管理技士の資格の中でも活躍できる現場がたくさんあり、技術者が常に不足している状況です。

     

    日本全国各地で道路工事や各種メンテナンス工事などが行われていて需要があるため、「好きな地域で施工管理技士として働きたいと思ったら、まずこちらの資格の取得を目指すのが良いでしょう。

     

    電気工事施工管理技士

    電気工事施工管理技士の1級および2級の受験者数と合格者数は次の通りです。

     

    検定種目

    受検者数[名]

    合格者数[名]

    合格率[%]

    1級第一次検定

    16,265

    6,606

    40.6

    1級第二次検定

    8,535

    4,527

    53.0

    2級第一次検定

    12,587

    5,969

    47.4

    2級第二次検定

    6,543

    2,816

    43.0

     

    難易度と出題傾向

    施工管理のための基本的な知識だけでなく電気工事についての専門知識も問われるため、言葉や概論を理解して問題に慣れなくてはなりません。

     

    電気工事施工管理技士試験の受験者は、約8割が電気の仕事に携わっている方々で、現場経験年数が長い方や、電気工事士の資格を持っている方は、2級を受験することなく1級の取得を目指す場合もあります。

     

    仕事内容

    電気工事施工管理技士は、電気工事現場の管理・監督を行います。

     

    職場や求人は主に公共性の高い工事を請け負う会社、主に電気工事会社が中心となります。

     

    工事を行う担当者や社内外の動きがバラバラでは仕事が進まないため、進捗確認や調整を行い指揮を取るのが仕事です。

     

    【参考】電気工事分野の資格について

     

    電気工事分野で取得できる資格は3つあり、取得しやすいのは次の順です。

    ①電気工事士

    ②電気工事施工管理技士

    ③電気主任技術者

     

    電気工事分野で仕事をする人は、担当する仕事内容に合わせて必要な資格を取得しましょう。

    キャリアアップのために何か始めたいという方は、資格取得の難易度の低い順に資格を取るのもひとつの方法です。

    中には、電気工事施工管理技士と電気主任技術者の資格を両方取得し(ダブルライセンス)、より強固なキーパーソンとして働いている人もいます。

     

    仕事内容には次のような違いがあります。

    資格名

    仕事内容

    電気工事施工管理技士

    電気工事現場の監理・監督を担当する

    電気工事士

    電気工事そのものの作業を担当する

    電気主任技術者

    電気設備の運用・保守を担当する

     

    電気工事施工管理技士や電気工事士の仕事場所は、電気設備のある工事現場やビルや工場、変電所などです。

    電気主任技術者の仕事場所は、すでに完成している電気設備のあるビルや工場、発電所、変電所などです。

    もし、働きたい場所や会社、働き方についてキャリアイメージが出来ている場合は、はじめからゴールへ近づくことを目指して勉強を進めるのも良いでしょう。

     

     

     

    管工事施工管理技士

    管工事施工管理技士の1級および2級の受験者数と合格者数は次の通りです。

     

    検定種目

    受検者数[名]

    合格者数[名]

    合格率[%]

    1級第一次検定

    14,990

    5,628

    37.5

    1級第二次検定

    7,194

    4,471

    62.1

    2級第一次検定

    16,774

    11,062

    66.0

    2級第二次検定

    10,385

    8,552

    82.3

     

    難易度と出題傾向

    他の施工管理技士の資格試験同様、出題範囲は広めです。

    ですが恐れる必要はありません。

     

    原理原則を理解して過去問を何度も解くことで合格率が高まる内容です。

     

    管工事施工管理技士については年度によって合格率が変動していて、ただ暗記するだけでは正解できない問題が増えてきている傾向があります。

     

    過去問を解いて練習する際には、腑に落ちるところまでしっかり理解することが大切です。

     

    仕事内容

    管工事施工管理技士は冷暖房設備や空調設備、給排気口、上下水道設備、ガス管などの設置や解体、メンテナンス工事などに携わります。

     

    管工事は細かな施工計画や管理が求められる重要度の高い仕事です。

    管工事配管ミスがあると、決められたところ以外に気体や液体が流れ込んでしまい危険なためです。

     

    工事の規模が大きくなればなるほど、使う部材や配管の引き回しも複雑になるため、資格取得による知識の習得と実務経験を双方積み上げていくことでキャリアアップに繋がります。

     

    造園施工管理技士

    造園施工管理技士の1級および2級の受験者数と合格者数は次の通りです。

     

    検定種目

    受検者数[名]

    合格者数[名]

    合格率[%]

    1級第一次検定

    2,754

    970

    35.2

    1級第二次検定

    1,453

    629

    43.3

    2級第一次検定

    4,461

    2,338

    52.4

    2級第二次検定

    2,676

    1.401

    52.4

     

    難易度と出題傾向

    合格率を参考にすると、他の施工管理技士資格と比べて難易度は高いようです。

     

    そして実務経験を積める会社や働き先が限られているため、これまでの経験が「造園工事」に当てはまっているか確認してみるとよいでしょう。

     

    例として、造園工事には公園や緑地の工事、住宅団地、屋上、庭園、墓苑園地、遊園地などの外構・緑化などの工事が該当します。

     

    仕事内容

    造園施工管理技士は、その名の通り造園工事の施工管理が仕事です

     

    加えて、会社によっては施設内の植物や緑地で、病害虫防除や除草、草木の剪定などを行うこともあります。

     

    建設機械施工管理技士

    建設機械施工管理技士の1級および2級の受験者数と合格者数は次の通りです。

     

    検定種目

    受検者数[名]

    合格者数[名]

    合格率[%]

    1級第一次検定

    2,397

    721

    30.1

    1級第二次検定

    925

    564

    61.0

    2級第一次検定

    6,939

    3,193

    46.0

    2級第二次検定

    4,372

    3,193

    73.0

     

    難易度と出題傾向

    第二次検定では次の種別のうち2つを選んで受験します。

     

    種別

    運転できる重機

    第1種

    ブルドーザー・トラクター・ショベル

    第2種

    パワーショベル

    第3種

    モーター・グレーダー

    第4種

    ロード・ローラー

    第5種

    アスファルトの表面仕上機

    第6種

    杭打機

     

    また、第二次検定時の筆記試験は、次の3科目となっています。

    • 組み合わせ施工法
    • 施工管理法
    • 建設機械法

     

    こちらは、令和3年より2科目増えたため、もしそれ以前より建設機械施工管理技士の種別を増やすかたちで順次受検している場合などは特に注意しましょう。

     

    仕事内容

    建設機械施工管理技士の資格を取ると、重機を使った工事がある現場に携われます。

     

    2級を取得すると、種別ごとに次のような重機を管理できるようになります。

     

    種別

    運転できる重機

    第1種

    ブルドーザー・トラクター・ショベル

    第2種

    パワーショベル

    第3種

    モーター・グレーダー

    第4種

    ロード・ローラー

    第5種

    アスファルトの表面仕上機

    第6種

    杭打機

     

    建設機械施工技士の1級を取ると、第1種~6種まで全ての建設機械を運転・管理できます。

     

     

    電気通信工事施工管理技士

    電気通信工事施工管理技士の1級および2級の受験者数と合格者数は次の通りです。

     

    検定種目

    受検者数[名]

    合格者数[名]

    合格率[%]

    1級第一次検定

    6,073

    3,108

    51.2

    1級第二次検定

    5,783

    2,138

    37.0

    2級第一次検定

    4,526

    2.978

    65.8

    2級第二次検定

    3,549

    1,290

    36.3

     

    難易度と出題傾向

    施工管理技士の資格試験の中で筆記試験の難易度は標準的と言えます。

     

    一方で第二次試験の合格率はやや低く、通信分野が専門的なので実地試験のハードルが高くなっている傾向です。

     

    仕事内容

    電気通信工事施工管理技士は、次の分野で工事の施工を担当します。

    • 固定電話
    • 携帯電話
    • インターネット
    • 社内LAN

     

    LANケーブルの新設・調整・撤去や電波障害が起きたときの調査、基地局設置など業務範囲は多岐にわたります。

     

    試験に合格するための学習方法

    ここまでにお伝えしてきたように、施工管理技士の資格試験の出題範囲は全体的に広く設定されています。

     

    そして第二次検定試験を受ける際には実務経験が求められるため、おのずと実務経験を積みながら資格試験の勉強を進めることになります。

     

    なるべく早く合格するためは、次の点を意識した勉強がおすすめです。

     

    • 学習の時間配分やバランス配分が重要
    • 満点を狙う勉強ではなく合格するための勉強で十分

     

    ここが基本!学科試験の対策(第一次検定、第二次検定)

    過去問を解きながら、言葉や概要・原理原則を覚えていくのが良いでしょう。

     

    目安として第一次検定は過去5~7年分、第二次検定は過去3~5年分カバーするのがおすすめです。

    上記の年数分をしっかり何度も解くことで、試験当日に出ると予想される同じ問題や似たような問題に慣れることが出来ます。

     

    複数の種類を順に受験している場合は、過去問を通じて出題範囲の重なりやバランスを把握できると良いかもしれません。

     

    はじめて出くわす問題や出題範囲を重点的に練習することが大切です。

     

    同じ種類の施工管理試験に何度かチャレンジしている場合は、過去問や周囲やインターネットから得られる情報を参考に、出題範囲に変化がないか注意しておきましょう。

    特に、施工管理技士の資格試験は令和3年、令和6年と変更が加わっているので、最新情報を確認した上で、過去問に取り組むことも大切です。

     

    ただし、施工管理技士の資格試験における制度改定は「施工管理技士として活躍できる人を増やす」目的の変更です。

    やみくもに落とすための試験ではないので、不安を感じる必要はありません。

     

    安心してどっしり構えて、過去問と向き合うようにしましょう。

     

    最難関!経験記述の対策

    施工管理技士試験に合格するためには、第二次検定試験の経験記述の対策が必須です。

    これまでの経験を元に実地試験の対策を行いましょう。

     

    経験してきた内容が問われることが多いため、過去問を通じて自身の経験を丁寧に振り返り、試験対策に役立てましょう。

     

    1回で合格したい人や文章力に不安を感じている人は、資格試験のサポートを活用するのもひとつの手段です。

    ご自身の経験をもとに、記述試験の対策を一緒に考えてくれます。

     

     

    スケジュールに余裕をもって勉強を進めよう!

    基本的には過去問を解いた上で、間違えたところを重点的に反復練習して、合格点を取れるところまで仕上げていくことになります。

     

    特に、次の点が人によって異なるため、勉強を始めてみないとあなたにとって必要な勉強・対策時間はみえてきません。

    • どのくらい最初の段階で間違えるか
    • 間違えたところを覚えるのにどのくらい時間がかかるか

     

    受験したい!受験しよう!と決めたら、まずはいち早く知識の習得や過去問を用いた練習に取り掛かり、なるべく時間を多く確保するのがおすすめです。

     

    では、ご健闘をお祈りいたします。

     

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