7種類の施工管理の違いと資格取得方法が分かる!あなたのキャリアに必要なのはどれ?

 

施工管理は、建設工事において工事を管理・進捗させる仕事です。

そして、施工管理技士は国家資格を取得した施工管理者の呼び名で、中規模以上の工事は施工管理技士がいないと行えません。

 

こちらの記事では、施工管理技士の7つの種類や2つの級のことを中心に、資格について詳しく解説します。

 

次のような疑問にお答えします。

  • 施工管理技士って何するの?
  • 施工管理技士の資格を取ると、何が変わるの?
  • 施工管理技士の資格取得は難しいの?

 

あなたのキャリアプランを描くひとつの材料にしていただけますと幸いです。

 

施工管理技士には、7つの種類がある

施工管理技士は、建設工事に必要な資格です。

つくり上げる物に合わせて、土木、建築、電気工事、管工事、造園、建設機械、電気通信工事の7つの資格があります。

 

どの資格も、工事期間内に次の4つの業務を遂行します。

管理項目

業務内容

工程管理

工事全体のスケジュールを把握し、計画通りに進むよう調整・管理します。

品質管理

工事に用いる材料が法に定める基準を満たしているか確認します。

工事によって出来上がった物が法的な基準を満たしているか確認し、記録を残します。

原価管理

会社への利益を確保するために、材料や人のバランスを考えて調整します。

安全管理

工事が終わるまで、事故が起こらない様に作業環境を整えます。

周辺環境にも気を配り、円滑に作業が進むように調整します。

 

資格によって、つくり上げる物の種類が変わりますので、次に詳しく説明します。

 

建築施工管理技士

戸建て住宅やアパート・マンションなどの工事に携わります。

大きいものですと、大型のショッピングモールや公共施設などを担当することも出来ます。

 

建築現場で関係する会社を統括するための代表的な資格です。

 

資格取得により出来ること

施工計画や施工図を正しく作成できることや、工程・品質管理を行うための指導監督スキルが身についていることを証明できます。

 

建築施工管理技士2級の出題範囲

第一次検定

  • 建築学
  • 設備その他 
  • 施工
  • 施工管理法
  • 法規

 

第二次検定

  • 施工経験記述
  • 施工用語
  • 工程管理
  • 法規
  • 施工技術

 

土木施工管理技士

土木工事とは、建物以外の建設工事のことを言い、橋や道路、トンネルやダム、河川などがそれにあたります。

このような土木工事の現場の施工管理をおこなうのが土木施工管理技士です。

 

資格取得により出来ること

土木工事に必要な図面の作成、機器や人の調整などを行い、工事が安全に期限内に終わるように管理出来るようになります。

 

土木施工管理技士2級の出題範囲

第一次検定

  • 土木一般
  • 専門土木
  • 法規
  • 共通工学
  • 法規
  • 共通工学
  • 施工管理

 

第二次検定

  • 施工経験記述
  • 土工
  • コンクリート工
  • 施工管理

電気工事施工管理技士

建築物や土木構造物の建設や増築を行う際、電気工事に携わります。

照明設備、変電設備、発電設備、送配電線、構内電気設備、非常用電源設備、電車線、信号設備などの施工管理を担当します。

 

資格取得により出来ること

電気工事に関する施工計画作成し、電気工事が円滑に進むよう管理出来るようになります。

 

電気工事施工管理技士2級の出題範囲

第一次検定

  • 電気工学
  • 電気設備
  • 関連分野
  • 設計・契約
  • 施工管理法
  • 法規

 

第二次検定

  • 施工経験記述
  • 施工管理
  • 工程管理
  • 電気設備
  • 法規

 

 

管工事施工管理技士

空調設備やガスの配管、ダクト工事の施工管理を担当します。

また、上下水道設備など大がかりな配管も可能です。

 

資格取得により出来ること

配管工事の施工計画の作成や、工程・安全・品質の管理等を行うことが出来るようになります。

 

管施工管理技士2級の出題範囲

第一次検定

  • 設備原論
  • 電気工学
  • 建築学
  • 空調設備・衛生設備
  • 設備に関する知識
  • 設計図書に関する知識
  • 施工管理法
  • 法規

 

第二次検定

  • 設備全般
  • 工事施工
  • 工程管理
  • 法規
  • 施工経験記述

 

造園施工管理技士

公園や庭園などの造園工事の施工管理を担当します。

公共施設、民間マンションや企業ビル、屋外レジャー施設などの造園工事や道路周辺の緑化工事なども含まれます。

 

資格取得により出来ること

造園や緑化の施工計画に始まり、工程管理、必要となる資材の調達や品質管理、安全管理が出来るようになります。

 

造園施工管理技士2級の出題範囲

第一次検定

  • 造園原論
  • 造園材料
  • 植栽
  • 造園施設
  • 土木工学
  • 関連工事
  • 測量・設計図書
  • 施工管理
  • 法規
  • 施工管理法

 

第二次検定

  • 工程管理
  • 品質管理
  • 造園施工
  • 施工管理

 

建設機械施工管理技士

建設工事現場では欠かすことのできない建設機械のスペシャリストです。

主に、施建設機械の取扱、機械の検査を含めた現場の安全管理や進捗管理を担当します。

 

資格取得により出来ること

油圧ショベルやクレーン車、ブルドーザーなどの建設機器を用いるような建設現場での施工管理が出来るようになります。

多くの重機が必要とされる大規模の現場や難易度の高い現場の責任者として配置されることが増えます。

 

建設機械施工管理技士2級の出題範囲

2級建設機械施工管理技士の試験は、第一次検定・第二次検定ともに建設機械の種類ごとに実施されます。

 

種別の一覧はこちらです。

種別

検定科目

建設機械

第一種

トラクター系建設機械

ブルドーザー、トラクター・ショベル、モーター・スクレーパー等

第二種

ショベル系建設機械

パワー・ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル等

第三種

モーター・グレーダー

モーター・グレーダー

第四種

締め固め建設機械

ロード・ローラー、タイヤ・ローラー、振動ローラー等

第五種

舗装用建設機械

アスファルト・プラント、アスファルト・デストリビューター、アスファルト・フィニッシャー、コンクリート・スプレッダー、コンクリート・フィニッシャー、コンクリート表面仕上機等

第六種

基礎工事用建設機械

くい打機、くい抜機、大口径掘削機等

 

第一次検定

  • 土木工学
  • 施工管理法
  • 建設機械原動機
  • 石油燃料
  • 潤滑剤
  • 法規
  • 種別問題

 

第二次検定

  • 施工管理法

 

※種別問題は、奇数種別から1種・偶数種別から1種の合計2種を一度に受験できます。

 

電気通信工事施工管理技士

2019年に新設された国家資格で、優線LANや無線LANの設置、モバイル通信用の設備工事を行えます。

また、防犯カメラや入退室管理システムの設備工事なども可能です。

 

IT関連のネットワークや通信インフラなどの構築に携わることが出来、今後も需要が伸びていくと予想されます。

施工管理分野の中でも将来性のある分野といえるでしょう。

 

資格取得により出来ること

LANケーブルの新設や電波障害の調査、基地局設置など電気通信に関わる幅広い工事を担当出来るようになります。

 

電気工事施工管理技士2級の出題範囲

第一次検定

  • 造園原論
  • 造園材料
  • 植栽
  • 造園施設
  • 土木工学
  • 関連工事
  • 測量・設計図書
  • 施工管理
  • 法規
  • 施工管理法

 

第二次検定

  • 工程管理
  • 品質管理
  • 造園施工
  • 施工管理

 

資格には、1級と2級がある

7つの施工管理技士の資格にはそれぞれ1級と2級があり、1級と2級の取得者はどちらも「主任技術者」になれます。

主任技術者は、各作業工程ごとに配置される責任者です。

 

さらに、1級を取得すると管理監督できる対象物が大きくなったり、現場全体を指揮する「監理技術者」にもなれたり、業務範囲が大きく広がります。

 

それでは詳しく解説していきますね。

 

2級を取得すると専任技術者や主任技術者になれる

2級建築施工管理技士を取得すると、工事ごとに専任技術者や主任技術者になれます。

専任技術者と主任技術者の兼任は出来ません。

 

専任技術者

専任技術者は営業所に常勤する必要があり、請負契約の締結や人員配置、工程管理等を担います。

 

主任技術者

主任技術者は、工事現場の技術上の管理を任されます。

 

専任技術者や主任技術者になるには、次のいずれかを満たさなくてはなりません。

  • 施工管理2級もしくは1級の資格者
  • 指定学科卒業かつ実務経験者
  • 10年以上の実務経験者
  • 登録基幹技能者

 

施工管理2級の試験は、17歳から受けられます。

施工管理職にてキャリアアップを目指す方に、とてもおすすめです。

 

1級を取得すると監理技術者にもなれる

1級を取得すると、2級取得者と同様に専任技術者や主任技術者として工事に携われるのはもちろん、監理技術者として工事に関わることもできます。

 

専任技術者

1級を取得することで、専任技術者の役割を果たせる工事の規模が大きくなります。

具体的には、一般建設業だけでなく特定建設業においても専任技術者になれます。

 

特定建設業とは、次のような企業のことを言います

  • 元請業者である
  • 請け負った工事1件につき、下請契約の額が4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上

 

建設業者は、一般建設業許可もしくは特定建設業許可のどちらかを得なくてはなりません。

その多くは一般建設業の許可を得ています。

「下請けに出さずすべて自社で施工する企業」や「下請け専門の建設会社」は、受注金額に関わらず一般建設業の許可で十分なためです。

 

一方で、ゼネコンや下請業者を多数抱える元請業者は、一般建設業と特定建設業の両方に当てはまる場合も多いでしょう。

これらにお勤めして大きな規模の工事に関わるなら、施工管理技士として1級の国家資格取得を目指しましょう。

 

監理技術者

大きな規模の工事の場合には、該当する工事の現場に専任で配置され、技術上の管理を任されます。

 

発注者から直接請け負った元請会社・元請負人で、合計4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の下請契約を締結した工事は、監理技術者が必要になります。

 

検定試験について

第一次検定と第二次検定があり、それぞれ年に1回実施されています。

第一次検定に合格すると、第二次検定に進むことが出来ます。

 

また、施工管理技士の不足や若手の責任者積極登用により、2021年より施工管理技士補という資格も創設されました。

第一次検定のみ合格すると、2級施工管理技士補や1級施工管理技士補の資格を得られます。

 

施工管理技士補の資格を取得することで、未経験でも建設業界への転職で有利になることがあります。

 

第一次検定試験は学科試験のみ

第一次検定試験はマークシート式の学科試験のみです。

2級施工管理技士の学科試験は満17歳以上、1級は満19歳以上が受験可能で、それ以外の条件等は特にありません。

 

第二次検定試験には実地試験も含まれる

二次検定試験は記述式で、自分が経験したことを文章に出来るかどうかも問われます。

 

2級施工管理技士の二次検定を受けるためには、2級の一次検定合格後、実務経験が3年以上求められます。

もしくは、1級施工管理技士の二次検定に合格した後、実務経験を3年以上(建設機械種目は2年以上)経て受験可能になります。

 

1級施工管理技士の二次検定を受けるためには、1級の一次検定試験に合格した後、実務経験が5年以上必要です。

ただし、すでに2級施工管理技士として5年以上の経験がある場合は、1級の施工管理技士の一次検定試験合格後すぐに二次検定試験も受験できます。

 

また、特定建設業(大きな規模の建設工事)において監理技術者や主任技術者の指導の下、施工管理経験を行った経験が1年以上あると、必要な実務経験が3年に短縮されます。

 

2級施工管理技士について

未経験から始める方や実務経験が浅い方は、2級施工管理技士の資格から取得するのが一般的です。

 

数ある施工管理技士の資格の中でも、建築施工管理と土木施工管理、電気工事施工管理が特に人気です。

前述の通り、将来性が期待される電気通信施工管理の人気も高まってきています。

 

1級施工管理技士について

1級施工管理技士の資格は、ゼネコンや下請業者を多数抱える大手の正社員派遣型企業に勤める施工管理者に人気です。

業務のスケールアップを希望する場合に取る人が多い状況で、それによって待遇面の向上も見込めます。

 

もしも会社で1級資格が必要な案件を請け負っていなかったとしても、施工管理技士として中長期的にキャリアアップを目指す際には、1級施工管理技士の資格を取るのがおすすめです。

案件やプロジェクトにて責任のあるポジションを任せられるような1級資格保有者を育成して、優遇する企業もあります。

そのような企業を選ぶのも一つの手です。

 

働きながら、施工管理技士の資格にチャレンジしよう!

施工管理技士の資格取得には、実務経験を経て第二次検定に合格する必要があります。

 

今のタイミングであれば、未経験でも施工管理者として採用されて、しっかり育ててもらえる環境が整った会社もあります。

 

ベテランの施工管理技士が多数定年を向かえているため、業界全体として責任者を求めている状況です。

その流れを受けて国の施策によって施工管理技士の国家資格の条件も緩和されています。

 

専門性を身につけキャリアアップしたい方は今がチャンスですので、ぜひ検討しましょう。

 

資格試験には実地があるので、いち早く業務に携わるのがおすすめ!

資格取得のために別途学校に通う方もいらっしゃいますが、二次検定試験を受ける前には実務経験が必要です。

資格取得にスピード感を求めるなら、働きながら試験勉強を行う方法が良いでしょう。

 

中小規模の建設業界の正社員として経験を積んだ後、大手に行って資格取得を目指す方法もあります。

 

建設業界で資格取得を目指すなら、数ある建設会社の中から資格取得を後押ししてくれるようなコンセプトの会社や大きな工事を多数請け負っている大規模な会社にて経験を積みましょう。

道が拓けます。

 

未経験から施工管理技士になる方法

未経験者には正社員型の派遣を行っている会社がおすすめです。

なぜなら、未経験の方が毎年多数入社して施工管理者や施工管理技士として活躍しており、少ない転職回数でしっかりキャリアを積めるからです。

 

正社員型の派遣を行っている会社は、未経験者に対する教育体制がすでに出来上がっており、働きながら資格取得も目指せるので安心感があります。

 

何のために資格取得を目指すのか考えよう!

資格を取得する目的は人それぞれです。

  • 管理職に就きたい
  • 年収を上げたい
  • 営業所に常勤できる立場になりたい
  • 土日休める立場になりたい

 

本当に資格取得が必要なときには、資格を取りやすい会社へ入社するのが一番です。

独学で資格取得を目指すよりも、短いルートで資格試験の合格や希望のキャリアにたどり着けます。

 

何のために資格を取るのか、資格取得して得たいものは何なのかを明確にして、キャリアプランを考えてみましょう。

 

一人で考えるのが不安だったり、情報が足りなくて自信が持てなかったり、難しさを感じられたときにはご相談ください。

プロが伴走し、あなたに合った相談先をご案内します。

 

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